資格を取りたい、仕事に役立つ知識を学びたい。 そう考えて受講する講座を探していても、入学料や受講料を合わせると、すぐには申込みを決められないこともあると思います。 費用の負担を少しでも減らせるなら、使える制度があるか確かめておきたいですよね。
その選択肢の一つが、教育訓練給付金です。 国が指定した講座を受講・修了し、一定の条件を満たすと、本人が支払った入学料や受講料の一部が支給されます。 たとえば「専門実践教育訓練」という区分では、追加条件を満たした場合に、給付対象となる費用の最大80%が支給されます。ただし、支給額には上限があります。
受けたい講座なら何でも対象になるわけではなく、誰もが最大額を受け取れるわけでもありません。 まずは、その講座が制度の対象か、自分が受給条件を満たすかを分けて確認すると、申込み前に費用の見通しを立てやすくなります。
この記事の目次
教育訓練給付金は、指定講座の受講費用の一部を支給する制度
この制度では、厚生労働大臣が指定した教育訓練を受講・修了することと、本人が受給要件を満たすことの両方が必要です。受け取れるのは、本人が支払った教育訓練経費の一部です。
したがって、候補講座に高い給付率が表示されていても、それだけでは受給できるとは決まりません。講座が指定対象か、雇用保険の条件を満たすか、どの手続をいつ行うかまで確認して、初めて制度を使えるか判断できます。
給付率と上限は3区分で異なり、最大率には追加条件がある
教育訓練給付金は、一般教育訓練、特定一般教育訓練、専門実践教育訓練の3区分に分かれます。基本給付と、条件を満たした場合に上乗せされる追加給付を分けて見る必要があります。
| 区分 | 基本給付 | 追加条件を満たした場合 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 教育訓練経費の20%、上限10万円 | 追加給付なし |
| 特定一般教育訓練 | 40%、上限20万円 | 資格取得と雇用の条件を満たすと合計50%、上限25万円 |
| 専門実践教育訓練 | 50%、年間上限40万円 | 資格取得と雇用の条件を満たすと合計70%、年間上限56万円。さらに賃金上昇の条件を満たすと合計80%、年間上限64万円 |
追加条件を満たした場合の、特定一般の最大50%と専門実践の最大80%は、2024年10月1日以降に受講を開始した場合に限られます。 ただし、どちらも講座を修了するだけで最大率になるわけではありません。
まず、修了後に講座に関わる資格を取得し、雇用保険の一般被保険者等として雇用されると、特定一般は合計50%、専門実践は合計70%になります。 資格取得と雇用は、それぞれ修了日の翌日から原則1年以内であることが条件です。 すでに一般被保険者等として雇用されている場合も、資格取得はこの期間内に行う必要があります。
さらに、専門実践で最大80%になるには、資格取得と雇用に加え、受講開始前と比べて賃金が5%以上上がるという条件も満たす必要があります。 つまり、表の最大率は、追加条件を満たした場合の合計です。受講時に全員へ一括で支給されるものではありません。
受給できるかは、指定講座と雇用保険の条件を分けて確認する
まず講座側では、受講開始日に、選んだ講座が対象区分の指定期間内にあるかを確認します。ここでいう受講開始日は、通学制なら所定の開講日、通信制なら教材などの発送日であり、初めて出席した日とは限りません。講座の指定期間も、この日を基準に判定されます。
本人側では、雇用保険の加入期間や離職後の期間などを確認します。中心となる支給要件期間は、受講開始日までに雇用保険の被保険者等として雇用された期間です。事業主が変わっても空白期間が1年以内なら前後の期間を通算できますが、過去に給付を受けた場合は、その受講開始日より前の期間を通算しません。
初めて給付を受ける場合でも、一般教育訓練と特定一般教育訓練は当面1年以上、専門実践教育訓練は当面2年以上の支給要件期間が必要です。いずれも原則は3年以上であり、初回なら3区分すべて1年以上という扱いにはなりません。
| 確認する条件 | 見る内容 |
|---|---|
| 講座側 | 受講開始日に対象区分の指定期間内か |
| 本人側 | 支給要件期間、離職後期間、過去の受給歴など |
指定講座の検索と、本人の受給資格の確認は別の作業です。この区別を保ったまま、費用の準備へ進みます。
最大給付率でも、受講料を先に用意する必要がある
最大給付率があっても、給付金で受講料を前払いできるわけではありません。一般教育訓練と特定一般教育訓練の基本給付は修了後に申請します。専門実践教育訓練の50%部分は、受講開始から6か月ごとに申請します。いずれも、本人が対象となる入学料・受講料を先に支払う前提で考える必要があります。
教育訓練経費は、原則として本人が教育訓練実施者へ支払った入学料と受講料の合計です。検定試験料、任意教材、交通費、パソコンなどの器材費、クレジット手数料、申請時点で未納の額は含まれません。
入学料・受講料を本人が支払う
↓
一般・特定一般:修了後に基本給付を申請
専門実践:受講開始から6か月ごとに50%部分を申請
そのため、最終的な給付見込みだけでなく、給付前に必要な資金と、対象外の費用を分けて見積もることが必要です。申請後にいつ口座へ振り込まれるかの一律の日数は、今回確認した公式資料では示されていません。
離職後や過去の受給歴には、申込み前に確かめたい例外がある
離職者は、原則として被保険者資格を喪失した日の翌日から1年以内に受講を開始する必要があります。ただし、妊娠、出産、育児、疾病、負傷などにより30日以上受講できない場合は、申出によって適用対象期間を最大19年延長できる場合があります。
また、受講開始日の前日から3年以内に教育訓練給付金を受けている場合は、再受給できません。支給要件期間だけでは判断できないため、離職後の経過期間、延長の可否、過去の受給歴も申込み前に確認します。個別の期間計算はハローワークで確かめるのが確実です。
申込み前の手続と、受講後の申請期限を区分ごとに確認する
特定一般・専門実践は受講前の確認が必要
特定一般教育訓練と専門実践教育訓練では、訓練前キャリアコンサルティングとジョブ・カードを経て、受講開始日の2週間前までに受給資格確認を行います。一般教育訓練にこの受講前手続を必須のものとして混同しないよう注意が必要です。
基本給付と追加給付は期限が異なる
一般教育訓練と特定一般教育訓練の基本給付は、修了日の翌日から1か月以内に申請します。専門実践教育訓練の基本給付は、6か月ごとの期間末または修了日の翌日から1か月以内に申請します。
特定一般の追加給付と専門実践の70%への追加給付は、資格取得と雇用の条件を満たしたうえで、雇用日と資格取得日の遅い方の翌日から1か月以内に申請します。
さらに、専門実践で合計70%から最大80%へ増額されるには、賃金上昇の条件を満たす必要があります。 賃金を比べる期間は、雇用日と資格取得日のうち、遅い方の日から1年が経過するまでです。その間の連続する6か月を選び、その賃金をもとにした「みなし賃金日額」が、受講開始前の賃金日額より5%以上上がっているかを確認します。
また、この増額分は、先ほどの合計70%までの追加給付とは申請期限が異なります。 雇用日と資格取得日のうち、遅い方の日の翌日から6か月を経過した日を起点として、そこから6か月以内に申請します。
ただし、受講開始日時点で離職しており、適用対象期間の延長が2年を超える場合は、最大80%への増額分は支給されません。 賃金が上がったかだけでなく、この対象条件と申請期限も合わせて確認してください。
申込み前は、講座の指定と受給資格を公式情報で確認する
候補講座が決まったら、厚生労働省の指定教育訓練講座検索システムで、受講開始日に指定期間内かを調べます。続いて、本人の受給資格はハローワークの支給要件照会で確認します。特定一般・専門実践では、受給資格確認も受講前の手続に含まれます。
候補講座の指定状況を確認する
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本人の受給資格を確認する
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区分ごとの受講前手続と期限を確認する
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申込みを判断する
まとめ
教育訓練給付金は、最大給付率だけで利用を決める制度ではありません。候補講座の指定、本人の受給要件、給付前に必要な費用、区分ごとの手続と期限を確認してから申込みを判断します。
まずは指定教育訓練講座検索システムで講座側を確認し、次にハローワークで本人側の受給資格を確かめてください。個別の受給可否は、公式窓口の確認を前提に進めます。